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3試合で完全燃焼! 怪作野球マンガ「アストロ球団」

アストロ球団 「巨人の星」「キャプテン」「ドカベン」「タッチ」など、野球をテーマとしたスポコン作品は数多いですが、一際異彩を放つ怪作としてカルトな人気を誇るのが原作:遠崎史朗、作画:中島徳博の「アストロ球団」です。

戦前の名投手にして、第2次世界大戦で命を落とした巨人軍の投手・沢村栄治の遺志を受け継いだ同年同日生まれの9人の「超人」たちが、「巨人軍とアメリカ大リーグの打倒」を目指してチームを結成する、という物語です。このあらすじからして、通常の野球マンガではないことが伝わるのではないでしょうか。

主人公・宇野球一をはじめとした、アストロ球団の選手たちのスローガンは「一試合完全燃焼」。あとのことは考えず、その試合にすべてをかけるという意気込みですが、これが単なるスローガンにとどまらず、実際に「試合中に必殺技が飛び交い、人が死ぬ」という展開が描かれました。 この作品は単行本で20巻という長編作品ですが、一試合あたりの熱量は凄まじく、作中で描かれる試合は3試合のみです。

一戦目の相手は、巨人軍への復讐を誓い集結した「ブラック球団」。二戦目は「ロッテオリオンズ」で、金田正一監督をはじめとした当時の所属選手も登場します。そして三戦目は、第二戦でも途中乱入した、アストロ球児のひとり・球四郎が率いる「ビクトリー球団」。アストロ球児や超人的プレイヤーたちの、文字通り命がけの試合が繰り広げられます。

野球の試合で怪我人続出!? 熱い試合展開

本作最大の特徴である、一試合完全燃焼主義による熱い試合展開と、超人的なプレイヤーたちから繰り出される必殺技。このふたつの要素により、毎試合誰かしらは大怪我を負い、また命を落とす(!)選手も続出します。 ジャコビニ流星打法、殺人L字ボール、人間ナイアガラなど、魔球どころの騒ぎではない必殺技の連発に読者は興奮の坩堝に叩きこまれます。

また、そもそも「9人の超人を集める」ことが目的なのに、その超人のひとりである球四郎が敵に回っていることからもわかるように、アストロ球団のメンバーは一度足りとも9人揃ったことがありません(ブラック球団戦はメンバー6人で試合)。もはや通常の試合展開とならないことは当然であり、読者も野球のルールなど無視して、ある種のバトルものとしてこの作品に熱中していたのです。

超人たちのスーパープレーに熱くなれ!

最終戦・ビクトリー球団戦を終えて、ようやく9人の超人が揃ったアストロ球団ですが、巨人軍・川上監督(こちらも実名監督が登場)の策謀により、日本はおろか世界中の野球リーグから閉めだされてしまいます。そこで「野球ができる新天地」を求め、9人の球児がアフリカへと旅立っていくというエンディングを迎え、作品も集結しました。

冷静に考えれば、野球がまったく普及しておらず、対戦相手もいないアフリカへ行ってどうするんだ? という話なのですが、繰り返しますがこの作品は「熱さ」こそが最大の読みどころ。このエンディングも「新たな挑戦」として受け止められたようです。

スポコンマンガというよりは、バトル路線のさきがけのような特徴を持つのが本作です。超人たちの手に汗握るスーパープレーは、今読み返しても心が熱くなること間違いなしです。