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「鉄腕アトム」でロボットは魂を得た!

鉄腕アトム マンガの神様こと手塚治虫が生み出した数々の名作やキャラクターの中で、時代を超えて生き抜いてきたキャラクターと言えば、「鉄腕アトム」と主人公・アトムではないでしょうか。

ロボットを漫画で描いたのは手塚が初めてではありませんでしたが、それまでのロボットの表現は明らかに人間とは異なる、しゃべる機械、自分で動くだけの機械といったものでした。アトムがそれまでのロボットと大きく異なるのは、まるで人間のような姿で、人間のように話し、そして考えるということです。アトムの誕生で、ロボットは「魂」を得たと言ってもいいかもしれません。

考えるロボット・アトムが産んだ深い物語

手塚が生み出したアトムというキャラクターにより、ロボットマンガは新たな問題を突きつけられることになります。それは、「ロボットに人権はあるのか」という問題です。

命を持たず、故障しても修理することができるのがロボットですが、アトムには記憶もあり、そして正義を愛する心もあります。修理した結果、それらが失われてしまうとしたら? また、ロボットだからとアトムの気持ちや行動を無視してもいいのでしょうか? 

鉄腕アトムでは、アトムや他のロボットたちの「人権」がテーマとなることもありました。またロボットは人間の命令に従わなければいけないという、ロボットものの命題に対する問題提起もされました。ロボットが自分で考え、行動した時、主人たる人間の考えとどちらが優先されるべきでしょうか。ロボットが人間に反抗することは許されるのか、そしてロボットではなく人間が間違っていた場合、それに従わなくてはいけないのでしょうか? 人ではないモノなのに、まるで人と同じような存在として描かれたアトムにより、ロボットものマンガは深い物語性を持つことになりました。

アトムとは正反対の「マジンガーZ」

アトムの誕生で生まれた「ロボットと人権」の問題を裏返しにしたのが、永井豪「マジンガーZ」といえるかもしれません。巨大ロボットものである「マジンガーZ」では、あくまで考えて行動するのはマジンガーZに乗るパイロット(兜甲児)です。そして、作中ではマジンガーZについて「神にも悪魔にもなれる力」と説明されます。マジンガーZには考える力も自分で動く力もなく、たんなる「モノ」であり、その善悪はあくまでも使う側=人間次第なのです。

アトムとマジンガーZに共通する点としては、「大きすぎる力」を扱う人間、という問題も提起されます。自分で考えるアトムも、考えることはないマジンガーZも、どちらも人間を遥かに超える力を持っています。人間にとっては、これが「敵」になることは恐怖以外の何者でもありません。

「鉄腕アトム」では、強大な力に自由を与えていいのかが、「マジンガーZ」では強大な力の奪い合い、誰が誰に対してその力を使うのかが描かれました。現実世界に置き換えれば、戦争や軍隊、核兵器の問題ともリンクするといえるのではないでしょうか。

アトムが生まれる日も近い?

現実でも様々なロボットが開発されていますが、まだロボットが意識を持ったり、自分で考えたりするというところには到達していません。しかし、同時にコンピューターの分野では、プログラムが学習し学んでいく「AI」技術も生まれており、このふたつを組み合わせた研究も盛んに行われています。

もしかしたら、マンガの世界でアトムが直面した問題が、私達自身の問題となる日も近いかもしれませんね。