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7割の虚構が魅力の大傑作! 横山光輝「三国志」

三国志 時代を超えて語り継がれるのが「歴史」です。遠い昔に起こった出来事が、時代を経ても人々の心を捉えて離さない「物語」となって、未来まで継承されていく。

何時の時代でも歴史ファンは多く、また日本の歴史のみならず古代ローマ史、中国史、第一次&第二次大戦の物語など、様々な時代ごとにロマン溢れるエピソードが存在しています。

歴史漫画の代表的作品となった大長編「三国志」

マンガ作品でも、当然ながら歴史ものは人気のジャンルです。数多くの作家が、様々な時代の物語をマンガ化しています。近年でも中国春秋時代を舞台とした「キングダム」(「週刊ヤングジャンプ」連載)が大ヒットしましたが、中国史&漫画作品で最大のヒット作と言えば、なんといっても横山光輝「三国志」でしょう。

漢帝国の滅亡から群雄割拠の時期を経て、劉備の蜀、曹操の魏、孫権の呉と3カ国に分割された中国が、ふたたび統一されるまでを描いた大長編。物語そのものも一大歴史絵巻として人気ですが、漫画作品としての「三国志」も連載開始が1971年、そこから15年・全60巻をかけて描かれた大長編となりました。

最大な魅力は英雄たちの活躍

三国志の魅力は、なんといっても登場する武将たちの魅力につきます。劉備、曹操、孫権はもちろん、劉備と桃園の誓いを結んだ関羽に張飛、歴史に残る大軍師である諸葛亮と、その宿命のライバルとなった司馬懿仲達、諸葛亮と同時代に生きたために悲運の天才となってしまった周瑜など、各陣営に魅力あふれる武将、軍師が山のように登場します。

また豪傑、天才だけが主役というワケではなく、一撃で切って捨てられる武将たちもまた、「三国志」を構成する重要なキャラクターとして生き生きと描かれていました。

史実3割・虚構7割の「演義」が根付いた理由とは?

よく知られた話ですが、横山光輝の「三国志」は、そのベースを歴史書である陳寿の「三国志」ではなく、羅漢中によって書かれた小説「三国志演義」としています。「史実3割・虚構7割」と言われるように、史実を大胆に改変して書かれた「三国志演義」では、書かれた明の時代背景が影響してか、劉備(蜀)が正義の人であるように脚色されており、比較して曹操(魏)が漢帝国を滅亡させた悪漢のように描かれました。日本でもこの「三国志演義」の史観が小説家・吉川英治の「三国志」と横山版「三国志」で広まった結果、まるで史実のように定着してしまいました。

例えば、劉備、関羽、張飛が義兄弟の契を結んだ「桃園の誓い」も演義による虚構ですし、曹操と袁紹による大決戦「官渡の戦い」がまるごとカットされている、諸葛亮が死去したところで唐突にストーリーが終わってしまう(蜀や呉の滅亡が描かれない)など、史実のファンにとっては物足りない点もあります。しかし、そんな欠点を上回るほどの魅力にあふれていることも事実で、「歴史とは別物」として純粋に楽しむべきでしょう。

今と違い大長編作品の数も少なかった時代に、60巻もの誌幅を費やすほどの人気となったのも納得な、将来も色褪せない名作です。