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規制を打ち破り復活したアメコミ・スーパーヒーローたち

アメコミ・スーパーヒーロー スーパーマン、バットマン、キャプテン・アメリカ、アイアンマンといった数々のヒーローが悪と戦うストーリーが人気の、アメリカンコミック(以下、アメコミ)。2000年代に入ると、かつてのアメコミ作品が続々と映画化されるようになり、アメコミ・ヒーローの再発掘と新たなファンの増加が同時に起こるようになりました。

しかし、これらのヒーロー作品は、多くは1940年代などに誕生した「古いヒーロー」であり、突然再スポットが当たったことに「なんで今さら?」と首を傾げるアラフィフ世代も多いのではないでしょうか。このアメコミ・リメイクブームには、ある理由があったのです。

アメコミ黄金時代から暗黒期へ

1930年から1951年までは、様々なジャンルのアメコミが描かれアメコミの基本が確立された時期であることから「ゴールデン・エイジ(黄金時代)」と呼ばれています。しかし、その後アメコミはある理由から、急激にその規模を縮小せざるを得なくなりました。それが、1954年に設立された「コミックス倫理規定委員会」による表現規制「コミックス・コード」の制定です。

当時のアメコミで人気ジャンルだったのは、様々なモンスターが大暴れする「ホラーもの」、実録犯罪コミックス、そしてラブロマンスものでした。現在のようなスーパーヒーローものばかりではなく、というよりもヒーローものは子ども向けの作品として少数派でした。

しかし、コミックス・コードにより、それまで人気のあったジャンルは大幅な内容規制を受けてしまいます。例えば、「タイトルに"ホラー""恐怖""犯罪"と入れてはいけない」「不快、もしくは不気味な内容の禁止」「暴力的、犯罪を連想させる内容の禁止」といった規制により、人気のジャンルはほぼ出版することが不可能になります。

規制を無視する新たな流通経路が誕生!

なぜ多くの出版社は、この強烈な規制に従ったのでしょうか。それは、コミックス・コードの規定に違反する出版物は、書店に置くことができなくなっていたためです。すべてのアメコミは倫理規定委員会のチェックを受け、規定をパスしたものだけが書店に置くことができました。

この状況が変化してきたのが、1980年代から90年代にかけて。いわゆる一般の書店ではなく、コミックス専門書店が登場し始めたことで、「倫理規定委員会の許可がなくともコミックス専門店でのみ販売する」という流通経路が登場し始めました。すでに低年齢層向けのヒーローものしか残っていない状況ではありましたが、ダークヒーローの登場、政治的思想を盛り込んだもの、過激な表現を盛り込んだものも描けるようになります。

復活を遂げたスーパーヒーロー

映画化され日本でも大ヒットした「バットマン ダークナイト」も、こうした流れからリメイクされた作品でした。暗く、重いテーマを扱ったこの作品により、アメコミ・ヒーロー作品は再注目されるようになります。

「アメリカの正義」を体現していたキャプテン・アメリカは、無条件の愛国心は果たして正しいのかと悩み、他のヒーローたちと対立するに至る……これが2016年に公開された映画「キャプテン・アメリカ シビルウォー」のストーリーです。かつてナチス・ドイツの生き残りとドンパチやっていたキャプテンから、だいぶ描かれ方が変わっているとは思いませんか?