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悪魔のヒーロー『デビルマン』

デビルマン アラフィフ世代が胸に残るアニメの中に『デビルマン』があります。その名のごとく"悪魔"="悪者"がヒーローとなる設定も斬新でしたが、"裏切り者"という響きが子供たちの胸に痛く突き刺さりました。『デビルマン』に、アラフィフ世代は何を見たのか、探ってみましょう。

原作とアニメのストーリーの違い

作者は『永井豪(ながいごう)』。"マジンガーZ"や"キューティーハニー"を手がけた、漫画家です。アニメの原作となった『デビルマン』は1972年~1973年まで週刊少年マガジンに掲載されていました。

原作の漫画版には主人公の『不動明』の親友、『飛鳥了』というキーパーソンがいます。またスケールも壮大で最終的には"デビルマン軍団"と"デーモン軍団"との戦いとなってSFタッチになっていきます。

それに対し「デーモン族を裏切り、人間を守るために戦う」といった大まかなストーリーは原作と一緒ですが、アニメの方は「敵を倒す」といった"ヒーロー"のままのスタイルで通しました。

"愛すること"を知った悪魔

『デビルマン』の切なさは、"本当のことを話せない"ということでしょう。デーモン族最強の勇者として人類滅亡の使命を受けたにも拘らず、人間のミキに恋してしまいます。そして愛するミキを護るために、今までの栄光全てを捨てて"裏切り者"の道を選びます。

しかし、自分が命を掛けて戦っていることも、ミキに伝えることはありません。最終回のラストで、オートバイの後ろに乗っているミキに「好きだぜ」と伝えるシーンがありますが、風にかき消されてしまいます。

「なんて言ったの?」と聞き返すミキに『不動明(デビルマン)』は笑っているだけで、想いを伝えないまま終わっていきます。当然、自分が人間ではないということも隠しています。何も、本当のことを伝えないまま、アニメは最終回を迎えました。

『デビルマン』の秘話

当時、テレビアニメ版はNETテレビで放送されていました。大ヒット番組『8時だョ!全員集合』(TBS系列)に対抗して、アニメにしては異例の夜8時から放送されました。

アニメ版のほとんどの脚本を担当した"辻真先"は、後に『デビルマン』は「中国大陸で軍から脱走した日本兵が、娘を守るために日本軍と戦う話」と語っています。また、脱走した日本兵は、いずれ処刑される運命であると『デビルマン』の最後を、想像させる発言をしています。

最終話である39話は、ローカル局でしか放送されておらず、キー局では再放送のときのみ最終話が放送されました。しかし、いずれもデーモン族との決着は描かれておらず、戦い続ける状況のまま終わっているのです。

見返りを求めない愛、人知れず愛する人のために戦う。アラフィフ世代の男たちは『デビルマン』の姿に何を見たのでしょうか。「愛する人を護るため、全てを捨てて戦う」、今も『デビルマン』に自分を重ね合わせ、愛する人のために戦っているのかもしれません。