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「おとめちっく」が少女マンガを変えた

集英社の少女マンガ雑誌「りぼん」。1955年に創刊され、そこそこの人気マンガ雑誌でした。1970年代に、田淵由美子と陸奥A子という2大人気作家を生み出し、一世を風靡。それがきっかけとなり、1990年代まで人気は上昇し続けて、発行部数255万部の史上最高の少女マンガとなります。ふたりは、少女マンガの一時代を支えたスーパースターです。

「おとめちっく」とは

少女趣味的かつロマンチックなストーリーで、作画の繊細さが特徴。それまでのマンガにみられた少年マンガの影響を受けた太い線でもなく、少女マンガならではのキラキラした瞳もない。キャラクターの描き方が画期的で、ストーリーそのものもさることながら、「絵」に魅かれる少女が続出。例えば、田淵由美子の作品は載っていなくても、表紙の作画が田淵の作なら絶対に買う、というほどの人気ぶり。

特に人気の作家は、「りぼん」に集中。田淵由美子、陸奥A子の他、太刀掛秀子にも人気がありました。陸奥の作品のコピーに「おとめちっく」が使われたのが最初で、その後、「田淵や太刀掛の作品も「おとめちっく」イメージで売られました。

それ以前の少女マンガの主流は、「ドラマチック」。少年マンガよりも少女マンガのストーリーの奥は深く、波乱万丈の物語が描かれていました。里中真智子、一条ゆかり、池田理代子、萩尾望都らの大御所の作品の完成度は高く、少年マンガに比べて文学的要素も高く、知的でもありました。男子よりも女子の方が「マセ」ているからでしょう。同じ学年の男女が読む物語の内容を比較すると、女子の方がやや大人びた内容でした。

それに対し、ストーリーそのものには知的な雰囲気を持ち込まなかったのが「おとめちっく」。複雑な要素はまったくありません。どろどろした人間関係はが全くないわけではありませんが、ドロドロしたものとしては描かれません。比較的きれいに、あっさりと問題を解決する方向で、悲劇的なエンディングは基本的には存在しませんでした。

田淵、陸奥、太刀掛に続き、篠崎まこ、佐藤真樹、小椋冬美、高橋由佳里なども登場します。

ふろくつきの魅力

「りぼん」はふろくつきの雑誌で、人気マンガ家のグッズが手に入るのも魅力でした。時には2号連続で購入すると、田淵由美子の絵柄の「ソーイングセット」がもれなくもらえる、などという企画もあり、「必ず手に入れる」という読者が多数いました。「絵」が一種の芸術作品のように人気を集めていた点は、他のマンガにはない特殊な一時代だったと言えるでしょう。

「おとめちっく」なマンガは今読んでも胸キュンものです。ときめきたいときにぜひ読んでみましょう。