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スポーツだけでなく愛も描いた梶原一騎

梶原一騎の主戦場は、スポーツと喧嘩の世界。ストーリーの中に恋愛も登場しますが、メインテーマではありません。どちらかと言えば、恋愛は梶原の不得意分野と思われていました。少女漫画と異なり、少年漫画の世界では「恋愛」をメインに据えるものは当時存在せず、成功するとはだれも予想できない時代でもありました。

成功した梶原の恋愛もの2作品、「朝日の恋人」(太陽の恋人)と「愛と誠」は、いずれもドラマ化されています。それぞれの主人公の名前が、タレントの名前としても使われました。ドラマの主役とタレント名のコラボの草分けともなりました。

70年代最大のアイドル歌手「天地真理」は「朝日の恋人」の主人公

71年から少年チャンピオンに連載された「朝日の恋人」。シリーズ化されて、「太陽の恋人」「夕日の恋人」と3部作となります。テレビドラマ化された時のタイトルは「太陽の恋人」。ヒロインの名前は「天地真理」。

71年に歌手デビューした歌手がこのヒロインの名前をもらって芸名にしました。歌手「天地真理」はその後大ブレイク。70年代前半に一世を風靡します。

男の愛情を静かに描いた名作「愛と誠」

ヒロインの名前は「早乙女愛」。このマンガが映画化された時にデビューした新人女優は、作中の名前をそのまま芸名にしました。

幼いころにスキーをしていて危うく死にかけた少女・早乙女愛は少年に救われ、愛情に満ちた少女に育ちます。彼女を救った少年・大賀誠は、その怪我がもとで人生を壊されてしまい、暴力で世の中を支配しようとする悪者に成長。二人は高校で再開しますが、「誠」の心は悪魔のよう。それを「愛」が献身的にひもといていきます。

ラストは、「誠」が愛に目覚めますが、「愛」の腕の中で亡くなるという、衝撃的なエンディング。「早乙女愛」に対する純真な愛を貫く同級生・岩清水弘のセリフ、「君のためなら死ねる」が大流行もしました。

プラトニックな純愛を描いた

どちらの作品もプラトニックな恋愛で、愛情表現の最大レベルは「キス」。それでもぞくぞくするほど興奮できるはずです。直接的なエロス表現ではありませんが、当時の抑制の効いた描写は今読み返すとかえって刺激的です。熟年になりED気味の諸兄もこの作品を読み返して若かりし頃の記憶を思い起こしてみては。恋女房と肌を合わせたくなったら、万が一のためにED治療薬の準備をしておくのが男としての愛情表現でしょう。せっかく盛り上がっても下半身が役立たずでは彼女を傷つけてしまうこと必至です。

天才原作者の描いた恋愛の世界を、ぜひ思い出してみましょう。感動できること間違いなしです。