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「あした」に希望をもたせてくれたジョー

あしたのジョー梶原一騎は高森朝樹、高森朝雄のペンネームも使い、数々の名作を残した原作者。プライベートな部分では多くの問題を抱えていたようですが、漫画の原作の世界では超一流。日本のスポーツ物の基本パターンを確立した人とも言えるでしょう。ひとつの競技を深く掘り下げただけでなく、さまざまなものを題材にしており、その多彩さは天才的です。
格闘技系では、空手バカ一代、柔道一直線、キックの鬼、ジャイアント台風、タイガーマスク。空手、柔道、キックボクシング、プロレス。
球技では、赤き血のイレブン、巨人の星、侍ジャイアンツ。サッカーと野球。そのほかにも、恋愛ものや、不良ものも描いています。朝日の恋人、愛と誠、夕やけ番長。
すべてが名作であり、どれが一番とランキングのつけようもないほどです。いずれもテレビアニメとしても大ヒットしました。
「あしたのジョー」は、ボクシング物のスポコンであると同時に、不良の成長物語でもあります。梶原作品の多くが、単に勝負に勝つ面白さを描くにとどまらず、「人間」を描いた点が特に突出していたでしょう。このような原作者は二度と現れることはないのではないでしょうか。

歴史に残った名タイトル

梶原作品の中でもタイトルだけでランキングをつければ、「あしたのジョー」が間違いなく一位でしょう。梶原の描いたスポコンの多くが、タイトルを見れば何のスポーツなのかわかるのに、この作品はまったくわかりません。「ジョー」という主人公の名前をタイトルに使っているのも、非常に珍しいです。
主役の名前を使ったのは、しいてあげれば、主人公のキャラクター名を使った「タイガーマスク」、主人公の名前と主題とをクロスさせた「愛と誠」くらいでしょう。この2作品は、主役の名前そのものに意味がありますが、「ジョー」には特に意味はありません。
「ジョー」の前に「あしたの」とつけた点も見事です。貧乏で喧嘩っぱやい不良が、貧乏なボクシングおやじと出会い、少年院なども経験しながら、ボクサーとしても人間としても成長していく物語。周りの人にとっても「未来を描く」希望を与える作品です。その希望の象徴が「あしたの」です。最初のトレーニングは「あしたのための、その1」。その後、「その2」「その3」と続きます。不良少年に心を開かせた「丹下段平」というキャラクターも秀逸です。

ハイジャック犯に「我々はあしたのジョーである」とまで語らせたほど、時代をとらえた作品でした。歴史に残る名作でしょう。